ファッション雑誌が大好きで、いろんなテイストの雑誌を読んできました。
少ない予算でオシャレになりたくて、各雑誌で活躍しているアイテムの最大公約数をリサーチしてみたりもしました。
特に好きな特集は「これだけは持っておけ定番アイテム10選」「マストハブ」「ワードローブ エッセンシャル」「ベーシック 10」「Capsule Wardrobes」的な、誰もが持っているべき、厳選されたど定番アイテムの特集でした。
で、こういうのって、発売年代や、ファッションのテイストが違っても、雑誌の販売国が違っても、だいたいどの雑誌も同じなんですね。
曰く
・白シャツ(トラッド系やメンズ雑誌だとオックスフォード地の洗いざらしのボタンダウン)
・ボーダーカットソー
・黒のタートルネックセーター
・ジーンズ
・ブラックパンツ
・ジャケット(ステラマッカートニーとか)
・トレンチコート(とりあえずバーバリー)
・リトルブラックドレス
・丸首ツインニット(スメドレーとか。)
・バレエシューズ(レペット)
・黒のパンプス(マノロやルブタン)
・スニーカー(ニューバランスやスタンスミス、コンバースなど)
・パールのネックレス
・ダイヤモンドの一粒ピアス
・フープピアス(ブルーベースの人はシルバー、イエローベースの人はゴールド)
・素敵なレースの下着
・L.L.Beanのトートバッグ
で、私も素敵になりたい一心で、とりあえずこれらを買って試したわけです(ただしバーキンを除く。あとピアス穴は閉じちゃったので私の場合はイヤリング)。
でも誰にでも似合う定番品なはずなのに、どうしても似合わないものもありました。
例えばボーダーカットソー。
最初はサイズ感が違うのではないか、色がよくないのではないのではないか。ボーダーの太さが問題なのではないか、と色々買い比べてもみました。
だって誰にでも似合う、誰もが似合うってどのファッション雑誌でも言ってるもん…私にも似合うボーダーカットソーがあるはず。そう思ったのです。
けど、何をどう合わせたって似合わない。そもそもそんなに好きでもない。
でもでも、定番な以上手元に置いておかなければ。
その行ったり来たりでだいぶ迷走してきたように思います。
自分のセンスに自信が持てなくて「人が良いというなら、とりあえずキープしておかなければ」と思ってしまう傾向がかなり強かったからだと思います。
けれど、断捨離を繰り返し、合わなかった服の問題点を検討し、色々な診断で自分の他人から見ときの個性を学ぶ中で、ようやく「他人の定番が、自分の定番になる訳ではない」ということを認められる様になりました。
具体的にいうと
・私のルックスは子供っぽいか大人っぽいかでいうと、圧倒的に大人っぽい。子供の頃から大人っぽかったから、少女っぽい(ガーリッシュ)、少年っぽい(ボーイッシュ)、学生っぽい(トラッド)テイストのものが圧倒的に似合いません。
・最近流行り?の顔タイプ診断でいうと、エレガントタイプ。直球のカジュアルでスポーティーなもの、カントリーテイスト、ナチュラルテイストが似合いません。カジュアル服やスポーツウェアを着なければならないときも、無意識でちょっとモードっぽいものを取り入れたりする一工夫が必要です。
・これまた最近流行りの骨格診断タイプでいう、ザ・ストレート。なおかつファッショナブル(&グレース?)タイプ。派手な色や大胆な柄に、シンプルな体のラインがそこそこでる服が得意で、逆にひらひらふわふわとした装飾やデザインがあったり、小洒落た一工夫がある服がとても苦手です。
・がっしりした体型で、もともと野暮ったくて垢抜けない野人っぽさがあるので、「肩の力が抜けた」「素朴な」と言った感じのものは、単純におじさんの作業着になります。
・タイプどうこうのレベルではなく、単純に水泳体型で、肩幅も肩の厚みも標準よりかなりあるため、肩が目立つ服を着るといかつくなってバランスが悪くなります。
・顔映りどうこうのレベルではなく、単純に日焼けしたような浅黒い肌で、顔のパーツもザ・縄文系と言った感じのため、色白肌の、はんなりおっとりしたお上品な真相の令嬢向きのアイテムを取り入れても、テイストがかみ合わず、ちっとも自分がよく見えません。
自分に似合うと褒められたアイテムのキーワードを自分なりに集積すると
・スマート、ハンサム、都会的
・シンプル、わかりやすい、王道(逆に、遊び心があるとか小技が効いたとか、はずしのオシャレとかは苦手分野。)
・現代的、モダン(未来的までいくと似合わない。けれどノスタルジックなものも似合わない。都会的、と通じる部分があるのかもしれない。)
・大人っぽい。(なお、大人っぽければ、女っぽいと言われるものも、マスキュランと言われるものも両方大丈夫だけど、中性的と言われるようなものや、おじさん風ファッションのような、性の匂いを消すものは似合わないし、少年っぽい、少女っぽいと言われるような子供要素があるものも似合わない。)
・強い、シャープ(繊細、華奢の対義語として)
・華やか、鮮やか
といった感じ。
(私がそうだというのではなく、あくまで似合うと言われるアイテムのテイストです。私にない要素を足してくれるからこそ似合うものもある訳で。)
以上を踏まえると先にあげた定番品でも、私が無理やりきてもメリットがないアイテムが結構あることがわかってきました。
・白のオックスフォードのボタンダウン。
白シャツでも例えば高番手のブロード地のアイロンがぴしっとかかった様なシンプルなシャツは得意なのですが、洗いざらしのざっくりしたオックスフォード地のようなナチュラルテイストの物になると一気に垢抜けなくなります。さらにボタンダウンがかもす、トラッド感=学生っぽさが、逆に老け顔を際立たせます。ちなみにですが、ファッションタイプはファッショナブルですが、胸元にフリルがあったり、提灯袖だったりするようなデザイン性が高いものは、胸板が厚い、ザ・骨格ストレート体型ゆえに着太りして垢抜けません。
・ボーダーカットソー
10代の頃の憧れはシャルロット・ゲンズブールだったので、ボーダーカットソーの、ガーリーだったりボーイッシュに見えたりするこなれたカジュアル感にどれほど憧れたことか…。けれど、そのテイストこそが、私が一番苦手とするもの。どんなに着太りしないものを選んでも、どんなに顔映りが良い色を選んでも、10代の頃から私が着ると、野暮ったいおばさんが無理して可愛くしようとしている感じになります。
・ジーンズ
ジーンズこそ、元の体型やルックスのポテンシャルが露わになるアイテムもないのではないでしょうか。どんなトップスでも合う便利さは常々感じてきましたが、私が着ると、ジーンズの出自である作業着感がどうしても出て野暮ったくなってしまいます。
そもそも私、ジーンズ生地のはき心地もそれほど心地よくは感じません。ジーンズじゃなきゃ行けないような場所に出入りすることは皆無な一方で、会社もジーンズ禁止ですし、改まった場面でも使えないし、どんなに高額でオシャレなジーンズに投資したところで、コスパは悪いです。
・トレンチコート
骨格ストレートという体型的にも、似合うファッションテイスト的にも、これこそ絶対に似合うはずだと思って、結構な額を投資してきました。
が、問題になったのが肩幅。私が着ると、オシャレアイテムというより、正規軍人の将校っぽさが際立ちます。
さらには病を得て以来、コートの重さで吐き気を催すことも度々。
前世紀においては軍が使うほど機能的な服だったのかもしれませんが、今世紀の技術からすると機能的には過去の遺物という気もします。クラシックなテイストの服というのは敢えてそこをオシャレとして楽しむ余裕がないとダメなんだなと思いました。
・丸首ツインニット
丸首カーディガンの方は、ボタンの開け方次第でどうとでもなるのでちゃんと重宝しています。が、丸首のニットの方は、首の太さと肩幅の広さ、顔のエラ張り具合と、頭の大きさが全部目立って全く似合いません。
また、私の場合、ツインニットで着た時にでる、お上品はお嬢様感がとっても似合いません。垢抜けないおばちゃんっぽくなります。
・バレエシューズ
持ち歩き用としてはかさばらずに便利なので、断捨離まではしていないのですが、薄いソールが機能的に足にとって楽ではないのと、ラウンドトウが醸し出す、少女めいた可愛げが、たくましい体を一層たくましく見せてしまって、バランスが悪いです。
・パールのネックレス
パールは日本の誇り、日本人なら1つは持つべきだとか、パールが似合わない日本人はいないとか、パールが似合わない女はダメだとか、冠婚葬祭用に一つは本真珠のネックレスを持つべきだとか、いろんな言説に惑わされてきました。
でも、パールがもつ深窓の令嬢風のお上品さは私の個性を殺します。
冠婚葬祭に使えるような、整った丸いパールの適度な長さのネックレスは、首の太さと肩の厚み、顔の大きさと、エラも目立たせます。
バロックパールのものを選んだり、グレーパールなど色を変えてみたり、変則的な長さのものを選べばまだマシなのですが、手入れはとてつもなく気を使うわりに、そこまでしても大して似合うわけでもなく、もっと安くてもっと似合うネックレスは他にあります。
オシャレとして取り入れても、大して私を引き上げてはくれないのです。そしてそういうものは冠婚葬祭には使えません。
ただ、冠婚葬祭のマナーとして身に着けるためなら一応は持っておくべきなのかな?と思ったこともあります。
が、喪服に合わせた際、親族にこぞって言われたのは「お前がパールをつけると、なぜだかすごく華美に見える。葬式にはふさわしくない。はずせ。」でした。本真珠の照りは、顔映りを無駄によく見せてくれ過ぎているのかもしれません。
艶っぽいものが顔に映える、パーソナルカラー冬の宿命でしょうか。ザ・無難の極めた喪服&極薄のメイクで身内の不幸のショックで顔色も酷かったのにも関わらず、元の顔立ちの派手さと合まって、確かになぜかパーティー服をきているように見えなくもない仕上がりでした。
・レースの下着
体組成計で測ると、標準をはるかに超える骨量と、ダントツの筋肉量に、まあまあの脂肪を蓄えた、がっしり体型の私が、繊細なレースの下着を着ると、縄文人にレースの下着を着せたように見えます。
素材感が合わないだけでなく、小花柄など細かい柄や細かな細工があるものがうるさく見えちゃう方なので、レースがごちゃごちゃと見え、下品に見えてしまいます。
シンプルなスポーツインナーのようなものの方が、着痩せしてスタイルがよく見えます。
機能的に考えても、シンプルで無地の服を着ることが多く、特に白のトップスをよく使うので、色やラインが響きやすい細工や柄があるものは不便ですし、横着なので洗濯に気を使うものは合いません。
予算的にも下着にお金をかける余裕がありません。
そもそも正直いうと、下着にあまりときめきを感じません。
下着にこだわる女こそオシャレだのなんだのファッション雑誌には色々と煽られてきましたが、メリットデメリットを考えると、私には不要なアイテムでした。
・バーキン
身の丈には合わないけれど、でもでも頑張れば頑張れるのでは…40歳になったらご褒美に…などとずっと思ってきました。
いや、今でも憧れ自体はあります。
がっしり体型ですし、そこそこ身長もあるので、その点だけとれば、大きいがっしりした革のバッグというのは、バランスが悪いわけでもないのです。
が、いざR40になってみると、重い革のバッグが持てない!5分持つだけで吐き気がするレベルで持てない!
今一番愛用しているバッグは軽量さが売りで、雨に強いものです。
そして経済的にも若い頃の自分が目論んでいたような余裕が全然ない!身の丈に本当に合わない!
宝くじを当てて、都内であっても常に車移動、自分でバッグを持って歩くことなどほとんどない、くらいの環境の変化がない限りは、私には縁のないアイテムだなと痛感しました。
・L.L.Beanのトートバッグ
キャンバス地の素朴さが、時にはコーデのはずしになったり、時にはカジュアルこなれ感になったりと大活躍…という触れ込みだったのですが、私が使うと野良仕事の作業用道具入れっぽくなります…。
人が持っていると可愛いのになぜ???(これは他のアイテムについてもよく思う。)
あと、キャンバス地って雨に弱いし、重いし、結構服の生地を傷めません?私はナイロンやPP生地の方が軽いし気楽で好きです。
こうやって見ると、「誰もが持つべき定番」なんて実際にはないのだなということがよくわかります。
若い頃は、長いものに巻かれておきたい、とりあえず無難でありたい、誰もが良いというようなものを持って誰もに良いなと言われたい、という気持ちも強かったし、とりあえず多数派が良いというものは押さえておきたいと言った守りの思考が強かったけれども、歳をとるにつれ、自分が王道、多数派ではないことに対しての諦めもつき、自分の価値基準で生きていく覚悟もできた(というかそういう風にしか生きられないというのがわかった)ように思います。
自分の人生に必要ないものは、この通りわかったので、次は自分なりの定番を見つけていけたら嬉しいです。